春の終わり、桜の季節が過ぎた。SNSではネモフィラが映える時期であるが、近所の散歩で偶然、それに似た花と出会った。
「オーニソガラム」という白い花。名前は撮影後に調べて知ったが、有名な青い絨毯を見に行けない自分は、思わずこの白い花にカメラを向けた。
非常に小さく、形もシンプルで一見地味に映る。しかし一面に広がると景色は一変し、視界いっぱいに白い世界が広がるのである。そこに黄色の雄しべがわずかなアクセントを添え、生命力にあふれた姿が印象的だった。
頭の中にあったのはネモフィラのふんわりとぼかした情景。目指したのは「背景をやわらかくぼかす表現」。被写体深度を浅くして一輪の花を際立たせ、周囲の花々を背景として溶け込ませるようにする。

パンフォーカスだとこうなるよね
たまたま50mmの単焦点レンズしか持ち合わせが無かった。開放F値も明るくある程度は背景をぼかせるが、正直もう少し被写体に近づけたらと感じたものである。理想を言えば、90mm以上の中望遠のマクロ系レンズがあれば良かっただろう。
花の撮影は予想以上に繊細で難しい。背景との距離感、光の質感、風による揺れ—すべてが絶妙なバランスを要求する。思い描いた通りの一枚を撮ろうとすればするほど、自分の技術不足に落ち込む。
SNSで見かける美しい花の写真と、自分が撮った一枚を見比べると、その差に愕然とするものである。
構図を整え、露出を調整し、風の止み間を狙っても、思い通りの一枚は簡単には撮れない。花の撮影はこれほどまでに難しいものかと落胆した。
今日も挫折を抱えつつカメラを手に歩く。